映画制作ご協力へのお願い
このたび尊敬するフェミニストの大先輩、田中喜美子さんが、積年の思いから日本のフェミニストのドキュメンタリーの制作を志し、私財を投じる決心をなさいました。監督に最適任といってよい松井久子さんを起用され、松井さんも熱意を持ってとりくんでくださっています。わたしが理事長を務めます認定NPO法人ウィメンズ・アクション・ネットワーク(WAN)では、この企画の意義を認め、全面的に協力することを理事会で決定いたしました。
田中さんの呼びかけにあるように、リブからおよそ半世紀、日本のフェミニストも高齢化し、その記憶を歴史に残し、次の世代に継承すべきときが来ております。ドキュメンタリーはたんに過去の活動を回顧するだけでなく、おひとりおひとりのフェミニストの方々がどんな人生をたどって「いま」に至られたか、その時間の厚みも感じさせるものであってほしい、と期待しております。
これまでも日本のフェミニズムの歴史を記録に残す試みはいくつも行われてきました。『資料日本ウーマンリブ史』の刊行は記念碑的なものでしたし、WANでは休刊・終刊のあいつぐミニコミ誌を電子アーカイブ化すべく、WANミニコミ電子図書館を開設いたしました。文字情報だけでなく、映像情報で歴史を記録に残しておくことの重要性はいうまでもありません。
以上の趣旨をおくみとりくださり、この作品の制作および上映にご協力くださいますよう、わたしからも心からお願い申し上げます。
2014年 5月吉日
上野千鶴子
認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク理事長