ドキュメンタリー映画 何を怖れる -フェミニズムを生きた女たち-

映画出演者メッセージ〈米津知子〉

映画出演者・米津知子さんメッセージ

20代だった1972年からの5年間を、リブ新宿センターで過ごしました。通称リブセン。ウーマンリブ運動の、東京の拠点の一つです。渋谷区代々木のマンションの一室で、複数のグループが共同で運営。7~8人の女たちが共同生活をしながら活動していました。私もその中で、女であり障害をもつ自分と向き合うことができました。

リブセンは優生保護法の改悪や夫の暴力など、たくさんの問題に取り組んで「リブニュースこの道ひとすじ」や、ビラ、パンフレットを多数発行しました。活動に一区切りをつけて 77年にセンターを閉じたあと、残っていたそれらを、発行年月順に整理保存して公開しています。2008年には「リブ新宿センター資料集成」(インパクト出版会)として、出版しました。

70年代のリブ運動は、ほんとうによく自分自身のことを語りました。自分をあらわにして、そこにある性差別と解放への希求を伝えようとしたのだと思います。何より、とにかく語りたかった。だから資料の保存は、リブセンを知ってもらうだけでなく、そこに居合わせた女たち自身の記録として、大切なものです。

記録を残す続きのように、この映画の取材を受けました。何かを伝えようとすれば、自分をあらわにすることになるのは同じ。20代でそれは少しもこわくありませんでした。60代のいまは、後ずさりする気持ちがわいてくるけれど、映画のタイトル「何を怖れる」に励まされています。

機会があったら、リブセンの「資料集成」も開いてみてください。出会えたことがうれしく、近づきたくてぶつかり合い、自分と格闘した女たちの記録です。この映画の向こう側にも、彼女たちを想像していただけたらうれしいです。  米津知子

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